チミケップホテル。
北海道、道東にある津別町に、周囲7km程の小さな「チミケップ湖」という湖がある。
観光開発もされず、手付かずの自然の姿が残される。
そんな携帯電話も通じない場所、森の中にポツンとたった1軒のオーベルジュがある。
それがチミケップホテル。
最新の設備や、大きな部屋などもない。部屋の中にはテレビもない。
あるのは、そう自然。
それと、美味い料理だ。
渡辺賢紀(わたなべまさき)というシェフがいる。
北海道の食材を生かし、フレンチをベースとしたジャンルにとらわれない新しい料理を提供する。
この宿の最大の魅力がそこにある。
フランス リヨン
オーベルジュ ドゥ・リィル(Auberge de l`lle) ⭐️⭐️⭐️
アメリカ ナパヴァレー
フレンチランドリー(The French Laundry) ⭐️⭐️⭐️
2003年と2004年には世界のトップ50
レストランランキングの世界ナンバー1を獲得、ミシュラン3つ星を取り続けている。
スイス ローザンヌ
ボーリヴァージュパレス
(Beau-Rivage Palace)⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
※ホテルなので五ッ星
アメリカ サンフランシスコ
ベニュー (benu)⭐️⭐️⭐️
※サンフランシスコに三ッ星レストランは
2軒のみ。
そんな数々の名だたるレストランで、スーシェフ、セレクションシェフを歴任している。
到着するとウェルカムドリンクを出してくれた。
ほうじ茶と紅茶を混ぜたお茶(シェフ出身地・静岡産)
甘納豆ハッカ(ハッカ樹氷)
部屋にチェックイン。
さっそく表で見かけたホテルの犬と遊ぶ。3匹いるけど、性格はそれぞれ。
チミちゃんは、怖がりで小屋から出てきません。
ケップくんは人なつこい元気な犬。
レイクくんは、最初、吠えるけど、すぐに仲良し。
ニシンのエスカベッシュ、紫ニンジンからスタート。
厚岸産カキ貝とサロマ産岩のりのジュレ
1番下に大根のパンナコッタ、牡蠣貝のジュレ、キュウリの微塵切りの歯ごたえ。
生牡蠣とくれば、日本酒。
黒龍のしずくを持ち込みさせてもらった。
こうして改めて飲んでみると、黒龍の料理への幅広い相性に舌を巻く。
ホテルにも日本酒がいくつか備えられていたのでもらってみる。
まずは、釧路の福司。純米酒。
加水、かなりきれいで軽やか。
これこそリーデルの純米酒グラスで飲んでみたかった。
阿寒湖ニジマス黒大根、ウイキョウ、オゼイユ(ハーブ)、キャビア
ニジマスを低温調理。
生クリームをあわ立てたものを燻製にし、山わさびの刻んだもの。
オリーブオイルに柑橘系の果汁?をかけてある。
この燻製生クリーム、半端ない旨さ!
今度は新政タイプSを頼んでみる。
燻製生クリームと合う。
単体だとくせのある酸味を感じた酒が何と合うことか。
ライ麦パン、ノーザンアークリゾートのパン
無塩バター、オホーツクの塩
美幌産ホワイトアスパラのムース、毛ガニとカラスミ
毛ガニのジュレ、ホワイトアスパラガスを使ったムースのソース
黒龍しずく合う。新政だと酸味目立つか。
お店が、黒龍用にグラスを2種類、用意してくれた。
グラス違い、金沢酵母の香り引き立つ。両方とも口が狭まっているのでそんな違いないかとおもってたが、びっくり。グラスの重要性を再確認。
左のグラスで飲むほうが、生酒香りの嫌なところも感じさせないし、ストレートに甘味が伝わってくる感じで好み。
函館産メヌケとグリンピース、タラゴン風味スープ
グリンピースは半分に割って、
メヌケの出汁を使ったスープ仕立て。
アワビを細かく刻んで、
タラゴン(よもぎ系)の風味、斬新。
それにしてもグリンピースの旨さ、ハンパない。
魚介とよもぎが合うとは思わない斬新さ。
シェフが作ったバゲット
食べ応え、歯ごたえあり。
芽室産子牛、パルメザンソース
トリュフをかつお節のように削ったもの、十勝の西隣り、芽きゃべを添えてあり、肉は低温調理?バルサミコ酢のソース。
チョコムースとナッツ、カシスソルベ
ココナツを使ったムースにタピオカ、大葉を使ったスポンジケーキの粉末を凍らせたもの、
コーヒー、エスプレッソ、紅茶、ハーブティーから。
エスプレッソとハーブティを選ぶ。
シュトーレン、ほうじ茶を使ったギモーヴ
わたなべまさきシェフの料理が出てくるだけで食堂が何倍もに大きく見える。
たったこれだけの品数の中で、日常の延長上に「新しさ」が見えてくる。
勝手な思い込みかも知れないが、シェフの料理が出てくるだけで、日本酒の世界も何倍にも広がるように感じる。
ただ美味い酒を飲むだけなら、自分の家で飲むほうが安くていい酒が飲めるかも知れない。
しかし、こうした新しさ、広がり、可能性があることを日本酒に求めて飲んでいる部分がある。
そんな希望を体感出来て、今日は幸せだった。
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